日商簿記3級の試験で必ず出てくるの、とても重要な項目が商品売買に関する部分です。
これは事業を行う上で、まさにビジネスの核となる部分なので、当然といえば当然ですが、とても重要な箇所なのでしっかりと学習しておきたい箇所でもあります。
商品売買に関する様々な用語や補助簿なども出てきますが、焦らずゆっくり理解していきましょう。
商品売買に関する基本的な用語
まずは商品売買に関する基本的な用語について確認していきます。
売価
売価は商品の販売金額を表します。
これは実際に販売した金額なのか、販売予定の金額なのかはケースバイケースにもよりますが、以上のような意味となりますので、しっかりと抑えておきましょう。
原価
原価は商品の仕入れに要した金額となります。
取引金額
取引金額についても、価格
と 価額
という2つの用語があります。
価格
価格は1個あたりの金額である単価を示す
価額
価額は価格(単価)×数量
のことを指します。
価額 = 価格(単価) × 数量
価格
と 価額
は言葉自体も似ているので混同しやすいですが、しっかり区別するようにしましょう。
例を示すと、500円の商品を100個仕入れたとなったときに、一個あたり500円というのがこの商品の価格(単価)となります。そして500円の商品を100個仕入れて50,000円となったときの、50,000円が価額となります。
売上原価
販売した商品の原価を 売上原価
といいます。
なお、登記の売上原価は下記のようにして求めることが可能です。
当期の売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高
この求め方は簿記の問題の中でも利用する箇所が出てくるため、理解しておくようにしましょう、
売上総利益
売上総利益は一般に言われている 粗利
を指します。
この粗利は下記のようにして求めることができますので、こちらも同じように頭に入れておきましょう。
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
とりあえず商品を仕入れて売った分の利益を指した言葉と思っていただいて構いません。
商品売買に関する処理については2つの方法がある
商品売買に関する処理については様々な種類があります。
日商簿記検定の3級については、分記法と三分法が出題範囲として含まれます。
分記法と三分法について
それぞれ違いを下で説明していきます。
分記法について
まずは分岐法からです。分記法と三分法では用いられる勘定科目が異なります。
分記法では下記の勘定科目を用いて処理を行います。
- 商品勘定
- 商品売買益
分岐法は商品を仕入れたら商品という資産が増えたものとして処理を行います。
実際には商品勘定として処理を行います。
また、その商品を販売したら販売金額との差額を商品売買益勘定として処理をするようにします。
実際の仕訳の例を見ていきましょう。
- 商品¥50,000分を仕入れ、代金はかけとした。
- 原価¥50,000の商品を¥70,000で販売し、代金は掛けとした。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
商品 | 50,000 | 買掛金 | 50,000 |
売掛金 | 70,000 | 商品 商品売買益 | 50,000 20,000 |
このように販売価額と売上原価との差額を商品売買益勘定で処理していきます。
三分法について
三分法では下記の勘定科目を用いて処理を行います。
三分法では商品を仕入れたら仕入勘定を借り方に記入し、商品を販売した際には売上勘定の貸方に記入を行い処理を進めていきます。
実際の仕訳の例を見ていきましょう。
- 商品¥50,000を仕入れ、代金は掛けとした。
- 商品¥70,000を販売し、代金は掛けとした。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
仕入 | 50,000 | 買掛金 | 50,000 |
売掛金 | 70,000 | 売上 | 70,000 |
三分法のほうが利益分を記載する必要がないため、より記述がシンプルです。
なお、上記いずれを採用しても、最終的な純資産額や当期純利益は変わりません
また、現在の試験の傾向的には、分記法はそれほど出題されないようなので、三分法を中心に学習していくことをおすすめします。
また、ご覧の通り、使用されている勘定科目を見ることで、分記法か三分法、どちらかを使用されているかを判断することが可能となっています。
具体的な内容については下記のとおりです。
- 分記法の場合は商品、商品売買益などの勘定が使用される。
- 三分法の場合は 仕入、売上などの勘定が使用される。
そのため、問題文などで仕訳が出ているとき、分記法と三分法のどちらを利用しているかがすぐに判別できるようにしておくと良いでしょう。
なお、以後は三分法前提で進めていきます。
返品の処理
次は返品についてです。
返品とは?
返品とは販売した商品に対して、販売するのに耐えられない汚れや傷、品物の間違いなどがあった場合に、売り主に当確商品を返すことを言います。
返品があった場合、原則として販売時の逆の仕分けを行うようにします。
返品処理の仕訳の例
- 商品¥50,000分を販売し、代金のうち¥10,000は現金で受取、残りは掛けとした
- 販売した商品のうち、¥5,000文については返品された。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
現金 売掛金 | 10,000 40,000 | 売上 | 50,000 |
売上 | 5,000 | 売掛金 | 5,000 |
なお、上は販売した場合のやり取りですが、逆に仕入れを行った場合は下記のようになります。
- 商品¥50,000分を仕入れ、代金のうち¥10,000は現金で支払い、残りは掛けとした
- 販売した商品のうち、¥5,000文については返品した。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
仕入 | 50,000 | 現金 買掛金 | 10,000 40,000 |
買掛金 | 5,000 | 仕入 | 5,000 |
返品処理についてのポイントを下記に記載していきます。
- 返品については指示がなければ、代金は掛(売掛金、買掛金)したものから差し引いていくようにします。
- 仕入の戻しでも売上の戻りでも、いずれも仕入れ時または売上時の処理を取り消すような処理を行うようにします。
- 返品時の仕訳方法が反対の仕分けを行っていることから、このような仕訳は俗に逆仕訳、反対仕訳と言われます
仕入諸掛と売上諸掛
商品の売買の際に付随費用が発生する場合があります。
商品販売の際にかかった費用についてを、諸掛(しょがかり)と呼びます。
こちらについては下記のページでまとめているので、参考にしてみてください。
商品売買の処理で用いられる補助簿について
ここからは商品売買に関する補助簿について説明していきます。
商品売買は商売の根底をなすものであるため、様々な補助簿が登場します。
数も多く、最初は覚えるのも難しく感じるかもしれませんが、少しずつ覚えていきましょう。
仕入帳と売上帳
商品売買について、仕訳を行い総勘定元帳に転記を行っていきますが、これらの帳簿を見ても
- どこから
- どんな商品を
- どれだけ購入し
- また、どれだけ販売したか
ということが分かりません。
そこでこれらについてを記録するために仕入帳と売上帳という補助簿を用います。
こちらについてそれぞれ下記のページで紹介しているので、ご覧ください。
商品有高帳
商品の管理と売上原価算出のために作成されるのが補助簿の一つである、商品有高帳となります。
この商品有高帳には商品を仕入、販売する都度記入していきます。
詳細な内容については下記のページで説明していますので、参照ください。
買掛金元帳と売掛金元帳
仕入先から商品を仕入れたり、得意先に商品を販売する際に、都度現金で決済をしないパターンは現代では多く見かけます。
それはいちいち現金で決済を行うのは面倒であり、また危険でもあるからです。
大抵はこのような日々の売買については買掛金・売掛金として、月末に計算して、翌月の15日にまとめて代金の受け払いが行われるといったパターンが多いかと思います。
商品売買は商売を行っている以上、頻繁に行われるため、買掛金や売掛金の管理はとても重要となります。
そこでこれらの管理を円滑に行っていくために買掛金元帳と売掛金元帳という2つの補助簿を用います。
これらの内容については下記のページに記載していますので、ご覧ください。
クレジット売掛金
クレジットカードを用いた場合に生じる売掛金をクレジット売掛金といいいます。
クレジット売掛金とは、顧客がクレジットカードを用いた場合に生じる売掛金のことを言います。
お金の流れとしては下記のようになります。
売上 -> クレジット売掛金 -> 当座預金 + 信販会社への支払手数料
顧客へ商品を販売した時点でクレジット会社に対する代金請求権をクレジット売掛金勘定として処理します。
このクレジット売掛金については、下記のページで説明していますので、ご覧ください。