貸倒れについて

貸倒れについて

貸倒れについて

貸倒れとは?

お金を回収できる権利(売掛金、受取手形など)があるにも関わらず、相手先の倒産などによって回収不能になることを貸倒れといいます。

※ちなみに試験の問題文などに回収不能という文字がある場合はイコール貸倒だと認識してしまって良いそうです。

貸倒れが発生した場合の仕訳方法(貸倒引当金残高がない場合は貸倒損失を用いる)

貸倒れが発生した場合、後述する貸倒引当金残高がない場合は、貸倒損失 勘定で処理することになります。
例えば、期中にいきなり貸倒れが起きた場合、後述する貸倒引当金は設定されていないため、この貸倒損失で処理することになるかと思います。

実際に簿記の問題文に当期中という表現がある場合、このケースを疑うことになります。 このようなパターンは割とよくあるケースらしいので、常に意識しておくと良いかもしれません。

貸倒損失勘定を用いた仕訳の例

  • 〇〇株式会社に対する前期からの売掛金 ¥100,000 が貸倒れとなった。なお、貸倒引当金残高は ¥0 である。
借方科目金額貸方科目金額
貸倒損失100,000売掛金100,000

このように貸倒損失として処理する必要がありますが、貸倒引当金残高が存在する場合、処理が変わります。
こちらについては後述する 貸倒引当金とは で解説していきます。

貸倒引当金とは

貸倒引当金の設定については決算整理時に行います。

決算日に、受取手形や売掛金がある場合、時期の貸倒れに備えて、予め貸倒引当金を計上することがあります。
実際には貸倒れは生じていないのですが、貸倒引当金繰入勘定を用いて計上します。
この貸倒引当金の金額についてですが、金額については過去の貸倒れの実績を考慮して決めていきます。

なお、貸倒引当金は貸倒れを見越して計上した、資産のマイナスを表す勘定(評価勘定とも呼ばれます)となります。

実際に貸倒引当金を設定する際の仕訳の例

  • 本日決算日となる(3 月 31 日)。売掛金残高 ¥5,000,000 に対して、2%の貸倒れを見積もることになった。
    • 売掛金期末残高 ¥5,000,000 の 2%となるため、5,000,000 × 0.02で貸倒引当金額を計算する。
  • なお、貸倒引当金の残高は ¥0 となる。
借方科目金額貸方科目金額
3月31日貸倒引当金繰入100,000貸倒引当金100,000

ここで注意しなければならないのは、この時点で貸し倒れに関してはあくまで予想なので売掛金を減らすことはしないということです。
(まだ決定しているわけではなく、あくまで予想の範疇となります)
そのため、貸倒引当金を設定するだけとなります。

貸倒れが発生した場合の仕訳方法(貸倒引当金残高がある場合は、貸倒引当金を用いる)

上で説明した貸倒引当金ですが、こちらの残高が存在する状態で貸倒れが発生した場合は、貸倒損失ではなく貸倒引当金を用いて処理を行います。

貸倒引当金勘定を用いた仕訳の例

  • 〇〇株式会社に対する前期からの売掛金 ¥100,000 がが貸倒れとなった。なお、貸倒引当金残高は ¥100,000 である。
借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金100,000売掛金100,000

また、下記のように貸倒引当金の残高が貸倒れた金額に足りていない場合は、足りていない分を貸倒損失として処理する必要があります。

  • 〇〇株式会社に対する前期からの売掛金 ¥100,000 がが貸倒れとなった。なお、貸倒引当金残高は ¥60,000 である。
借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金
貸倒損失
60,000
40,000
売掛金
 
100,000
 

前期以前から繰り越されてきた貸倒引当金残高が残っている場合

貸倒引当金を設定する際に、前期に設定した貸倒引当金が残っているケースがあります。 このような場合の処理には、2通りのやり方が提供されています。

ただ、日商簿記検定では差額補充法のみが出題されている状況なので、こちらのみを抑えておけばよいでしょう。
(ここについては損益計算書(P/L)での表示のルールが差額補充法と整合しているというのが理由としてあるそうです)

なお、差額補充法以外のやり方として洗替法があります。
それぞれの違いは下記のとおりです。

  • 差額補充法
    • 貸倒引当金設定額と設定前の貸倒引当金勘定残高との差額について、補充または取崩を行う方法
      • 補充が必要な場合は、必要な文だけ貸倒引当金繰入勘定を行う
      • 取崩を行う場合は貸倒引当金戻入勘定を計上する
    • 足りない文は継ぎ足す的なノリでやる
  • 洗替法
    • 設定前の貸し倒れ引当金勘定残高を一旦取崩し(戻入を計上)
    • 当期末の設定学を改めて計上し直す(繰り入れる)方法
    • 戻入という勘定を計上することで一度戻して、改めて貸倒引当金繰入を設定し直す

前期以前から繰り越されてきた貸倒引当金に、更に金額を補充する際の仕訳の例

実際に差額補充法で貸倒引当金を補充する際の仕訳の方法を確認していきます。

  • 本日決算日となる(3 月 31 日)。売掛金残高 ¥5,000,000 に対して、2%の貸倒れを見積もることになった。ことになった。
    • 売掛金期末残高 ¥5,000,000 の 2%となるため、5,000,000×0.02で貸倒引当金額を計算します。
  • なお貸倒引当金残高は ¥30,000 ある。

この場合、下記のような計算を行い、仕分けを行います。

  • 設定した貸倒引当金は5,000,000×0.02 = 100,000
  • すでに ¥30,000 の残高があるため、100,000 - 30,000 = 70,000 となる。
    • つまり、すでに存在している貸倒引当金に対して、足りない分のみを追加する形となる。
借方科目金額貸方科目金額
3月31日貸倒引当金繰入70,000貸倒引当金70,000

貸倒処理後における回収

一旦は貸倒れ処理を行っていたにもかかわらず、その後に回収できた場合は下記のような処理の流れをたどります。

一旦は貸倒れ処理をした後に回収できたケース

当期中に行っていた貸倒れ処理を取り消す処理を行う 具体的には貸倒れ処理した仕訳の逆仕訳を行う形となります。

  • 4 月 15 日、商品 ¥30,000 を掛けで売り上げる。
  • 5 月 1 日、4 月 15 日に生じた売上金が回収不能となった。なお、貸倒引当金残高は ¥0 である。
  • 5 月 30 日、5 月 1 日に貸倒れ処理した売掛金を、現金で回収することができた。
    • 5 月 1 日の処理とは逆の仕分けを行います。
      • ただし今回は現金となっているので、売掛金ではなく現金で処理します。
借方科目金額貸方科目金額
4月15日売掛金30,000売上30,000
5月1日貸倒損失30,000売掛金30,000
5月30日現金30,000貸倒損失30,000

前期からの売掛金が当期に入って貸倒れとなったが、貸倒れ処理した売掛金を当期中に回収できた場合(貸倒れがなくなった状態)

この場合、行う処理は上の処理と同じく逆仕訳となります。
前期からの売掛金ということもあり、貸倒引当金が設定してある状態での仕訳であるケースになることが多いと思われます。
(もちろん問題文を読み解く必要はありますが)。

今回は貸倒引当金を使って処理を行うケースを記述します。

  • 5 月 1 日、前期から生じていた売掛金 ¥30,000 が回収不能となった。なお、貸倒引当金残高は ¥30,000 である。
  • 5 月 30 日、5 月 1 日に貸倒れ処理した売掛金を、現金で回収することができた。
    • 5 月 1 日の処理とは逆の仕分けを行います。
      • ただし今回は現金となっているので、売掛金ではなく現金で処理します。
借方科目金額貸方科目金額
5月1日貸倒引当金30,000売掛金30,000
5月30日現金30,000貸倒引当金30,000

前期以前に貸倒れ処理した債権を回収できた場合。

前期以前に貸し倒れしていたが、今期になって回収ができた場合、売掛金を減額しているため、貸方に売掛金勘定を用いることができなくなります。
このようなケースでは償却債権取立益という勘定を用いて処理を行っていきます。

償却債権取立益について

償却債権取立益とは、前期以前に貸倒処理した債券を取立の形で回収する勘定科目のことを指します。

償却とは?

ちなみにここで出てきた償却の意味については、ここでは資産を費用化することとします。
本来もっと掘り下げて書くことも可能ですが、簿記 3 級の学習範囲ではひとまずこのように覚えておけば問題はないでしょう。

償却債権取立益勘定を用いた仕訳の例

実際の仕訳の例を見ていきます。

  • 前期に貸倒れ処理していた〇〇株式会社に対する売掛金 ¥30,000 が、本日現金で回収できた。
借方科目金額貸方科目金額
現金30,000償却債権取立益30,000

貸倒れについて見てきましたが、このように様々なパターンが存在するので何度も学習を繰り返して覚えていきたいところです。